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中学2年の子供といっしょに傍聴してきました

8.11 50代男性 会社員

 8月11日、参議院の「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」を中学2年の子供といっしょに傍聴してきました。

 インターネット中継ではなく、委員会を直接傍聴することの面白さは、論戦を目の当たりにすることにあります。はげしい質疑応答を近くから見つめることで、やりとりの背景にあるものや、そこで激突する意見のぶつかり合いをじかに感じることができます。ふだんは休会中の国会ですが、今年は大幅に延長したので、夏休みの子供といっしょに傍聴するチャンスができました。

 もうひとつの楽しみは、国会や委員会を成立させるために働いている人たちを見ることができることです。はじめに傍聴券をお世話をしてくださる方から名前を読んでもらって傍聴券を受け取り、衛視が何重にも警備する国会のなかへと入っていくのですが、持ち物のX線検査、3つのエレベーターを乗り継いで、委員会の傍聴席へとたどりつきます。

 そこには、委員会の委員(国会議員)や報道記者、議員秘書、さらにはその日質問される省庁の関係者などが、出入りしています。そういった人たちの表情や仕事ぶりを見るのも、どんな人たちによって国会が構成され、そこで起きていることが報道されるのかを知るうえで、とても参考になります。わたしの感想は、衛視は厳格ですが親切な方々で、省庁の関係者はいろんなタイプの人がいて、報道記者はひっきりなしに移動しているというものです。

 さて、この日は、10人の委員が質問に立つ予定でした。

 列記しますと、大塚洋平(民主)、小西洋之(民主)、柴田巧(維新)、小池晃(共産)、井上義行(元気)、和田政宗(次代)、中西健治(無ク)、福島みずほ(社民)、山本太郎(生活)、荒井広幸(改革)です。

 審議内容についてですが、はじめに質問に立った大塚洋平議員(民主)は、「存立危機事態」とはどういう状態を指すのか、場合によっては「先制攻撃」することもあるのかどうかを質しました。

 それから『防衛白書』の「専守防衛」についての記述が、平成25年度と平成26年度を比較すると、日本語版では従来のものが掲載されている(一字一句変わらない)のに、英訳版はずいぶん変えられていることが指摘されました。一般の人々には目につきにくいが、海外の国にはきわめて大きな役割を果たす英訳版から、どんどん変更されている。政府は国民に知られないかたちで、いろんなことを変更しようとしており、実際にそれがおこなわれていると思います。

 次に質問に立ったのは小西洋之議員(民主)で、昭和47年政府見解についての議論があり、それから、憲法前文における3つの平和主義と今回の安保法案との整合性について質されました。

 3番目に質問に立ったのは、柴田巧議員(維新)で、ウィキリークスが暴露した米国による盗聴活動についての問いがあり、さらにサイバー攻撃は集団的自衛権の対象になるのか(法理としては可能)、また自衛隊法が改正されて武器・弾薬が輸送可能になった場合、その中身をどのように確認するのかが問われました。

 4番目に質問に立ったのは、小池晃議員(共産)で、いきなり防衛省の内部文書が提出されました。『「日米防衛協力のたまの指針」(ガイドライン)及び平和安全法制関連法案について』というものです(http://www.jcp.or.jp/web_download/data/20150810183700620.pdf)。

 これは5月下旬に作成されたもののようですが、それによると、安保法案は8月中に成立し、来年の1月下旬から施行されることになっています。この文書はどういう経緯で作成されたものなのか、そして参議院で現在審議中の議題が、すでに法案として成立し、その後のガイドラインについて協議しているのは本当なのか、協議のうえ、散会になりました。それゆえ、予定していたあと6人の質問は、急遽、中止になりました。

 ここには「軍軍間協議」などとも記されており、すでに自衛隊が「軍」として扱われています。シビリアンコントロールの原則からは、すでにかなり逸脱しているように感じられる文書でした。

 以上が傍聴のあらましです。

 そして防衛省の内部文書について、いろいろツイートを見ていたら、興味深いものがありましたので、ご紹介します。

 これはフジヤマガイチさん(@gaitifujiyama)のツイートですが、そのまま引用しますと「今回の共産党小池議員による追及で明らかになった件、これは統幕監部の暴走なんかではない。防衛大臣もしくは官邸からの明確な指示のもとのシュミレートだという事が濃厚かと思われる。というか、政権は最初からこの地を『最初の標的』として狙っていたに違いない」。この地とは、南スーダンを指します。

 さらに、このように続きます。「新聞の片隅に書いてある『首相動静』を読み返してもらえるとよく分かると思うが、昨年末から安倍は官邸にて統合幕僚長と20回以上会談している。これは首相自らの指示があったと見るのが妥当な見解だと思う」「結局、ホルムズ海峡も対中国も関係ない。日米ガイドライン改定の狙いでもある日本によるアメリカ軍の肩代わり行為の具体的実施例、その第一歩としての南スーダンなんだろう。こうした背景考えると今回自衛隊内部から情報が漏れてきた理由も非常に納得がいく」とその背景を読んでいます。

 ホルムズ海峡の機雷除去、中国のガス田開発は、おそらく国民への目くらましなのでしょう。そして、その真意は、南スーダンにおけるPKO活によって実績を作り、次にはイラクやアフガニスタンへの派遣を可能にするものと思われます。すこしずつ安倍政権の考えていることが明らかになってきました。

 いささか内容がハードになりましたので、最後にちょっとしたエピソードをひとつ。

 安保法制に関する特別委員会の審議中、福島みずほ議員が、机上に置いた水の入ったコップをあやまって倒してしまいました。すると、隣席に座っていた山本太郎議員がすぐに白いバスタオルを取り出し、福島議員に手渡したのです。山本議員は高校時代には水泳部だったと聞いていますが、それ以来、バスタオルを常備しているのではないかと思わせるほどの手際のよさでした。

 こういったことも、傍聴に参加すると、ときには見ることができます。

 特別委員会はまだ続きますが、どのような審議がおこなわれたのかをよく見て、しっかりと法案の問題点を明らかにし、自分なりに考えたいと思いました。

50代 男性 会社員

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